話題を取捨選択する嗅覚は本当に必要か。

ニュースサイトは処理しきれないほどの多くの話題の中から、これだという話題をピックアップして閲覧者に提供する。 以前にセレクトショップという例えをしたが今回は話題をピックアップするときの運営者の手腕。 感覚にたとえるなら嗅覚になるだろうか。 これについて考えてみる。


まず、ニュースサイト自体を考えてみた。
私の考える理想的なニュースサイトとは、取り上げられる話題のコンセプトがはっきりしていて取り上げられる話題が適度であること。
ここでいう適度とはすべての話題を閲覧することが出来る程度だとする。 曖昧で定義になっていないが、厳密にいくつとすることが出来ないのもまたおもしろさだと捉えよう。 むしろ定義できないことが面白いのではなく、ある範囲内ならいくつでも正しいことが面白い。 これはまた別の話題かも知れない。


取り上げる話題はニュースサイトを作り上げる上でのもっとも大きな要素になる。 多くの場合は食指が伸びる話題、もしくは閲覧者に受けが良さそうだと思うものだろう。
目にとまった話題すべてを取り上げることは簡単だが、あまりに多くなると情報提供者として破綻する場合がある。 採用するかどうかのさじ加減は意外と難しい。 その取捨選択はいかにして行われているのだろうか?
実は取捨選択以外にカテゴライズや優先順位をつけるなど回避策が検討されていると思うが、取捨選択がより本質的なテーマだと思う。


・コンセプトに見合っているか。
常に食指の伸びる話題がコンセプトに見合っているとは限らない。


・閲覧者に受け入れられる話題であるか。
閲覧者も食指をのばすような話題であるかどうかということ。 これが本件のメインテーマである。 ニュースサイトが繁栄するかどうかはここにかかっていると言っても過言ではない。 コンセプトが受け入れられるかどうかという問題はこの際棚上げしてしまっても良いだろう。


では、閲覧者に受け入れられる話題を嗅ぎ分ける「嗅覚」とはどのようなものだろうか?


センスという声が聞こえてきそうだが、嗅覚をセンスだと言い換えることも出来る。 センスは持ち合わせているモノではなく、作り上げ磨いていくものだと思う。 そう考えると嗅覚は経験だといえるのかも知れない。
これまでに他のニュースサイトにネタ元として取り上げられるなど反響のあった話題の傾向は閲覧者に受け入れられたかどうかの指標になるだろう。 経験を積み重ねることでニュースを嗅ぎ分けられるようになる。 これは確かそうだ。


興味というファクタはどうか?
言い換えれば意識の高さ。 さらに言い換えるなら自分がどれだけ楽しめているか。 これまでニュースサイトを運営する上で大切なのは興味だと述べてきたつもりだが、取捨選択の評価も結局興味、すなわちどれだけ楽しめる話題であるか、いかに好奇心が揺さぶられるか、クリックの瞬間に高揚するかどうか、知りたいと強く思うかどうか。に帰着できないだろうか。


話題に対して取り上げるかどうか閾値を設けなくとも、興味という意識を持てばそれほど莫大な数にはならないのではないかと思う。 興味は大小様々だが、どうしても取り上げたいと思う話題に毎日出会わないのが常だ。
タイトルだけ見て中身は読まなくても良いかなと思うような話題は取り上げなくても良い。 また、コメントに困るようなニュースも取り上げなくて良い。 揺さぶられる話題が無ければ更新しなくても良い。いずれ好奇心は磨かれる。アンテナの高さと世の中でいわれているものは好奇心の熟練度だ。


要するに楽しむことが大切だ。
嗅覚という感覚は実は後付けで管理者が作り上げるものかも知れない。 楽しむことを忘れ情報提供者という成立しているのかどうか確認することが出来ない幻想を具現化し、正当化するための装置ではないだろうか。 運営者は気が付かないうちに閲覧者という幻のご機嫌を伺ってはいないだろうか?

閲覧者は取り上げたニュースの中に1つでも気になるモノがあれば満足してくれると信じている。 知りたいという欲求はそういうものではないかと思う。 不安になることはない。

ニュースを選ぶときこそ、自分が理想とするニュースサイトを思い描こう。 巡回を楽しもう。 サイト運営は義務ではない。 誰に頼まれているわけでもない。 楽しいモノだという原点に返ろう。 ニュースサイトを立ち上げて初めて巡回したときの喜びを思い出そう。 経験もない、テクニックもない。 でも楽しかったはずだ。

優れたニュースサイトとは、単純に自分が興味を持った話題をコンセプトに沿って提供するサイトであり、何をおいても運営者が楽しんでいることが重要である。